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上田秀人
上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第百章
第百章 死者を人へ戻す 「俺は」 「弥市の子だ」 二十二年前。 刑場で。 処刑された男は。 そう叫んだ。 だが。 記録には。 残らなかった。 残ったのは。 別の男の名前。 今。 品川へ。 二十一年ぶりに帰ってきた。 名を伏せた... -
上田秀人
上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第九十九章
第九十九章 死んだ名 一番船。 朝。 新之介が。 甲板へ上がると。 竹吉が。 待っていた。 その隣。 一人の男。 四十を。 少し越えている。 身体は大きい。 役名。 大名。 だが。 着ているものは。 粗末な。 異国風の仕... -
上田秀人
上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第九十八章
第九十八章 七歳の宗伯 ――代替受入。 ――御影宗伯。 ――本人年齢。 ――七歳。 清太郎が。 その文字を。 もう一度。 読み上げた。 部屋の中。 誰も。 すぐには。 話さない。 未定の男。 かつて。 御影宗伯。 徳川家斉。 そ... -
上田秀人
上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第九十七章
第九十七章 捨てた者の理由 「御影宗伯」 その名を。 宗太は。 何度も。 口の中で。 転がした。 四十三年前。 長崎。 自分を。 海へ送り出した男。 そう記憶している。 だが。 今。 米利堅側の船にいる男は。 「徳川家斉」を。... -
上田秀人
上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第九十六章
第九十六章 四十三年遅れの返事 小名木川。 夜。 川面には。 月。 細い。 風。 冷たい。 その岸に。 伊三郎はいた。 以前と同じ。 痩せた身体。 片目だけが。 よく見える。 古い笠。 杖。 そして。 川を見ていた。 ... -
上田秀人
上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第九十五章
第九十五章 誰が捨てたのか ――立会い。 ――御影宗伯。 ――徳川家斉。 その二つの名を。 誰も。 すぐには口にしなかった。 海送り第一号。 十五歳。 生まれ名。 松平左京。 後に。 沢渡玄隆を名乗る男。 その人間を。 海へ送る... -
上田秀人
上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第九十四章
第九十四章 海送り第一号 「海へ送られた」 「最初の一人が」 「何をされたのか」 「そこから」 「聞きます」 新之介が。 そう言った翌朝。 米利堅側から。 一艘の小舟が来た。 乗っているのは。 老人。 一人。 通詞。 一人。 護衛。... -
上田秀人
上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第九十三章
第九十三章 渡してよい名 「本人抜きで」 「渡すことには」 「私は」 「反対します」 新之介が。 そう言った時。 兄。 新三郎は。 すぐには答えなかった。 鼠色の帳面。 子替帳。 その中には。 名。 顔。 声。 歩き方。 傷。 ... -
上田秀人
上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第九十二章
第九十二章 母の選び ――新之介を。 ――御影へ渡さない代わりに。 ――新三郎。 ――そなたを。 ――差し出した。 お澄の手紙。 その一行は。 夜が明けても。 新之介の頭から離れなかった。 兄。 新三郎も。 ほとんど眠っていない。 榊... -
上田秀人
上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第九十一章
第九十一章 兄の名 「そなたには」 「兄がいた」 宗次郎の言葉は。 新之介の耳へ入った。 だが。 意味になるまで。 少し時間がかかった。 「いた?」 「ああ」 「死んだと」 「聞かされた?」 「ああ」 「誰に」 宗次郎は。 答えない。 ...