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上田秀人
上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第二十一章
第二十一章 白日の評定 暁の鐘が、江戸城の濠に静かに響いていた。 薄く立ちこめた朝霧が石垣を包み、城門へ向かう武士たちの姿を淡く霞ませている。 新之介は城門の前で足を止めた。 胸に抱えた風呂敷には、鷹見静山が遺した記録が収められてい... -
上田秀人
上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第二十一章
第二十一章 証の声 江戸城の朝は、静かであった。 堀の水は薄い光を受け、石垣は青く沈んでいる。 登城する武士たちの足音だけが、整然と響いていた。 榊原新之介は、戸田備前守の駕籠の脇を歩いていた。 懐には、鷹見静山の記録。 背には、... -
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上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第二十章
第二十章 江戸帰還 江戸へ戻る道は、暮色の中に沈み始めていた。 新之介は背の風呂敷を強く結び直した。 中には鷹見静山の記録がある。 酒井丹波守を越え、老中首座へ届くかもしれぬ証である。 だが、その重みは紙の重みではなかった。 玄斎... -
上田秀人
上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第十九章
第十九章 石段の攻防 石段を踏みしめる足音が、地下室へ重く響いた。 一段、また一段。 湿った石壁に反響するその音は、人数の多さを物語っている。 新之介は石段の下に立ち、静かに刀を構えた。 背後には木箱に納められた書物と帳面。 鷹見... -
上田秀人
上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第十八章
第十八章 鷹の印 西徳寺の鐘の余韻は、夕闇の江戸へゆっくりと溶けていった。 真崎半九郎は山門の外で一礼したまま、新之介の返事を待っていた。 年の頃は三十を少し過ぎたほど。 粗末な木綿の羽織をまとっているが、立ち姿には武家らしい節度が... -
上田秀人
上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第十七章
第十七章 帳面改め 酒井丹波守の捕縛は、表沙汰にはされなかった。 江戸城の奥で、静かに処理されることとなった。 だが、静かであることと、事が軽いことは違う。 むしろ重すぎるからこそ、声高に触れられぬのである。 榊原新之介は、戸田備前... -
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上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第十六章
第十六章 評定の場 評定の間に、証人たちが並んだ。 水野監物。 大黒屋宗兵衛。 佐吉。 松井弥十郎。 そして榊原忠左衛門。 戸田備前守は毒に顔色を失いながらも、上座に座した。 酒井丹波守は静かだった。 まるで己が裁かれる側ではな... -
上田秀人
上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第十五章
第十五章 米蔵の矢雨 矢は、米俵に深々と突き刺さった。 乾いた藁が裂け、白い米粒が床へこぼれる。 新之介は身を伏せながら、父・忠左衛門の方へ目を走らせた。 村垣平八郎はすでに忠左衛門を盾にし、俵の陰へ退いている。 「卑怯な!」 源太... -
上田秀人
上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第十四章
第十四章 小石川の蔵(前編) 夜明けの空は鉛色だった。 東の空にようやく光が差し始めても、新之介の胸中に朝は訪れなかった。 叔父・頼母は息絶え、父・忠左衛門は連れ去られた。 榊原家の屋敷には、まだ血の匂いが残っている。 玄関先で源太... -
上田秀人
上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第十三章
第十三章 両国の火 両国の夜空に、火の粉が舞った。 船宿の屋根は熱を帯び、瓦の隙間から黒煙が吹き上がる。 新之介は佐吉の腕を掴み、隣の屋根へ身を移した。 「下を見るな」 「見ております!」 「見るなと言った」 佐吉は青ざめている。 大...