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上田秀人
上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第五十六章
第五十六章 最初の静山 地の底から響いた轟音は、一度では終わらなかった。 ごうん。 少し間を置いて、 ごとり。 さらに深い場所で、鉄と石がぶつかる音。 西徳寺の鐘楼まで震えた。 「第一冊を!」 新之介が走った。 篠田弥兵衛、半九郎... -
上田秀人
上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第五十五章
第五十五章 割れた鐘 四度目の鐘が、海の上まで届いた。 ごおん――。 長い余韻が、江戸湾の風へ溶けていく。 朝風丸の甲板で、誰もすぐには口を開かなかった。 四度。 再起館で決めた救いの合図。 偶然ではない。 「西徳寺で何か起きた」 ... -
上田秀人
上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第五十四章
第五十四章 船底の火 爆発は、海の下から船全体を持ち上げた。 異国船の甲板が大きく傾く。 帆柱が軋み、折れかけた横木が落ちる。 「伏せろ!」 新之介は近くにいた女を押し倒した。 直後、頭上を太い木片が飛んでいく。 甲板へ叩きつけられ... -
上田秀人
上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第五十三章
第五十三章 砲声の向こう 三発目の砲口から、白煙が上がった。 「伏せろ!」 誰かの声と同時に、砲弾が海面を走った。 異国船の左舷。 船腹。 二十三人の日本人がいるという場所。 新之介は、何もできずに弾道を目で追った。 砲弾は船腹へ... -
上田秀人
上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第五十二章
第五十二章 白旗の男 戸田家上屋敷の船着き場には、二艘の舟しか残っていなかった。 一艘は、撃たれた北見帯刀を医師のもとへ運ぶ。 もう一艘は、江戸湾へ向かう。 「私は残る」 戸田備前守が言った。 失った声は、まだ完全には戻っていない。 ... -
上田秀人
上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第五十一章
第五十一章 生きた声 銃声は、狭い地下道の中で何度も跳ね返った。 耳の奥が痺れる。 火薬の臭い。 消えた灯り。 誰かが石床へ倒れる音。 「殿!」 北見帯刀の声だった。 「動くな!」 新之介は暗闇へ叫んだ。 「誰も動くな!」 すぐ近く... -
上田秀人
上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第五十章
第五十章 声の間 戸田家上屋敷から上がる黒煙は、近づくほど太く見えた。 火の手は屋敷全体へ回ってはいない。 燃えているのは、北西の一角。 主屋から渡り廊下で隔てられた、小さな平屋だった。 「あれが声の間です」 宮坂孫六が言った。 新... -
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上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第四十九章
第四十九章 四つの鐘 鐘は、江戸の四方から響いていた。 一つ目は西。 西徳寺。 第一冊を置いた土蔵の方角。 二つ目は北。 戸田家の下屋敷。 街道寺から移した第二冊を、五者の封で預けた場所。 三つ目は南。 海防掛の御用蔵。 盤洲... -
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上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第四十八章
第四十八章 千人の声 蔵前へ近づくにつれ、鐘の音は一つではなくなった。 北から。 西から。 川沿いから。 町の辻ごとに別々の鐘が鳴り、それぞれの場所で人の声が上がっている。 「米を出せ!」 「御蔵を開けろ!」 「隠した米を民へ返せ!」 ... -
上田秀人
上田秀人を模倣し、武士の文化を描いた完全オリナル時代小説『刀影 ―武士の世を斬る者―』第四十七章
第四十七章 声を持たぬ舟 小名木川の水門を抜けると、流れが急に速くなった。 潮が引き始めている。 文吉の早舟は、その流れへ乗って東へ逃げていた。 新之介たちの舟との距離は、二十間ほど。 遠くはない。 だが追いつける距離でもなかった...