第七十一番 十番の千代
御記録所の地下は、煙の匂いがまだ残っていた。
先ほど燃えた書架。
濡れた廊下。
壁を伝う水。
その奥。
普段なら紙や文箱を運ぶ者しか使わない狭い石段を、新之介は駆け下りていく。
「こちらです!」
先を走る若い役人が叫ぶ。
「鐘はどこで!」
「一番下の石室です!」
「誰が鳴らした!」
「分かりません!」
「中に一人だけ?」
「声は一人です!」
「確認したのですか!」
「扉が開きません!」
まただ。
中に一人いると決めている。
声だけで。
「ほかの声は!」
「聞こえません!」
「では、一人とはまだ決めない!」
「はい!」
若い役人は走りながら返事をした。
「素直ですね」
「今日一日で慣れました!」
「嬉しくありませんね」
「私もです!」
石段を下り切る。
細い通路。
左右に古い木箱。
御記録所よりさらに古い時代のものらしい。
奥から。
ごん。
ごん。
ごん。
ごん。
四度。
鐘。
だが西徳寺の大鐘ではない。
小さな金属音。
「助けを求める合図だ」
新之介が言った。
若い役人が頷く。
「再起館で決めたものが、もう城内にまで」
「誰が伝えた」
「分かりません!」
「よいです」
「え?」
「分からないと申したので」
「それで褒められるとは」
「最近は貴重です」
◇
石室の前。
扉は鉄。
小さな覗き窓だけがある。
「中!」
新之介が叫ぶ。
「聞こえますか!」
しばらくして。
女の声。
「榊原新之介か」
「そう名乗っています!」
「……そうか」
「そなたの名を!」
「鷹見千代」
「役ではなく!」
沈黙。
「今の名を!」
「……千代だ」
「生まれた名は!」
長い間。
返事がない。
「分からないのですか!」
「違う」
「では!」
「思い出したくない」
新之介は扉へ近づいた。
「では今は聞きません!」
中の声が止まる。
「何」
「閉じ込められている理由を!」
「先に?」
「人が先です!」
女の声が、わずかに笑った。
「十五年前と同じだな」
新之介の足が止まる。
「私を知っている?」
「知っている」
「どこで」
「榊原家」
新之介の背中に冷たいものが走った。
「弥吉殿と同じ時期に?」
「違う」
「では」
「その前だ」
「何年前」
「十五年と少し」
「何をしていた」
「台所」
「奉公人?」
「ああ」
「名は」
中の者が答えた。
「お千」
記憶の奥。
幼い頃ではない。
若い新之介がまだ家にいた頃。
確かに。
台所に、一人いた。
年齢のよく分からない女。
顔を布で隠すことが多かった。
火傷があると聞いていた。
「……お千」
「覚えているか」
「少し」
「十分だ」
「では、そなたが十番」
「そうだ」
「十六人のうち」
「十番」
「御影へ入れられた」
「ああ」
「鷹見千代という役を」
「最初に与えられた」
新之介は扉へ手をついた。
「今、なぜここに」
「記録を取りに来た」
「誰の」
「十六人の」
「地下の見分帳とは別の?」
「元帳だ」
「どこに」
「この石室」
「なぜ閉じ込められた」
「扉が勝手に閉じた」
「仕掛け?」
「違う」
「誰かが閉めた」
新之介の目が細くなる。
「見ましたか」
「いいや」
「声は」
「聞いた」
「誰の」
「私の」
「何」
「鷹見千代の声で」
また。
自分の声に閉じ込められた。
「何と」
「『十番はここで終われ』」
「ほかには」
「『役は残る』」
新之介の拳が固くなる。
人を終わらせ、役だけを残す。
御影。
鷹見静山。
将軍。
榊原新之介。
同じ病。
◇
「鍵は!」
新之介が若い役人へ問う。
「上です!」
「取りに!」
役人が走ろうとする。
「待ってください!」
「何です!」
「一人で行かない!」
「では誰と」
後ろから息を切らした声。
「私だ!」
神谷作左衛門。
さらに水野。
「遅いです」
「そなたが速いのだ!」
「玄斎先生は」
「置いてきた!」
遠く上から怒声。
「聞こえておるぞ!」
「先生!」
「膝人を置いていくな!」
「階段です!」
「分かっておる!」
水野が額へ手を当てる。
「今は鍵だ」
「はい」
「神谷と役人で上へ」
「二人」
「了解!」
二人が走る。
水野が覗き窓へ。
「中の者」
「名は」
「鷹見千代」
「役名ではない」
「今は千代だ」
「本名は」
「聞くな」
「なぜ」
新之介が止める。
「今はよいです」
「そなたが?」
水野が驚く。
「本人が思い出したくないと」
「では後で?」
「本人が話すと決めた時に」
中から声。
「榊原」
「何です」
「甘くなったか」
「いいえ」
「では」
「名を無理に取り戻すのも、役を押しつけるのと同じです」
沈黙。
「……そうか」
◇
「元帳とは何です」
新之介が問う。
「十六人をどこへ入れたか」
「誰が決めたか」
「誰が引き取ったか」
「その後、何をさせたか」
「全部」
水野が顔を険しくする。
「それがあれば、かなりの者が」
「罪人になる」
「そう言いたい?」
「違う」
「では」
「責任を確かめられる」
新之介が言った。
「その違いは大きい」
「分かるのか」
「少しは」
「なら聞け」
「はい」
「元帳には、十六人の元の名も書いてある」
「全員?」
「ああ」
「そなたの名も」
「ある」
「だから取りに来た」
「自分の名を」
「違う」
「では」
「消すためだ」
新之介の表情が変わる。
「なぜ」
「戻りたくない」
「十五年前へ」
「ああ」
「元の家族が」
「死んでいる」
「確認は」
「した」
「自分で」
「十年前に」
「では」
「元の名を見れば」
「また戻される」
「誰に」
「周りに」
「そなた自身は」
「お千で生きた」
「千代で生きた」
「別の名でも」
「どれも私だ」
「元の名だけが本物ではない」
新之介は扉の向こうを見つめた。
「なら」
「何だ」
「元帳を消さなくてもよい」
「何」
「元の名を、本人が使わないと決めたと記録すればよい」
「そんなことが」
「できる」
「誰が許す」
「本人が」
中の女が息を呑む。
「役所は」
「役所の都合より人が先です」
「またそれか」
「はい」
「しつこいな」
「皆、同じことを申します」
水野が苦笑した。
◇
足音。
神谷と若い役人が戻る。
その後ろ。
玄斎。
杖。
息を切らしている。
「先生!」
「来たぞ」
「なぜ」
「名を」
「何」
「千代を名乗る者がいると聞いた!」
玄斎は覗き窓へ近づく。
「中」
「誰だ」
中の女は黙る。
「鷹見千代か」
「そう呼ばれた」
「十五年前」
「玄斎先生へ竹筒を渡した者か」
中の声が止まる。
「違う」
「では」
「八番だ」
「やはり別人」
「ああ」
「そなたは」
「十番」
玄斎の手が震える。
「お千か」
今度は新之介が玄斎を見る。
「先生も知っている?」
「榊原家で一度見た」
「なぜ」
「そなたの父へ呼ばれた時だ」
「父が」
「お千を見て」
玄斎は記憶を探す。
「誰かに似ておると思った」
「誰に」
「宗太郎」
中の者が、小さく笑った。
「似ていて当然だ」
「何」
「私は」
声が止まる。
「続けてください」
「……宗太郎の妹だ」
玄斎が凍りついた。
「何だと」
水野も。
新之介も。
「御影宗伯の娘?」
「ああ」
「なら」
「十六人の一人なのに」
「御影の家の者?」
「そうだ」
「なぜ売られる側へ」
中から低い返事。
「父が入れた」
◇
玄斎が扉へ杖を叩きつけた。
「何を申しておる!」
「そのままだ」
「御影宗伯が」
「自分の娘を」
「六十三人へ混ぜた」
「なぜ!」
「見分のため」
「何を見分ける!」
「人売りの道を内側から」
新之介の顔が歪む。
「子どもを使った?」
「私は十四だった」
「自分で選んだのですか」
「父は聞いた」
「何と」
「『やるか』と」
「ほかの選択肢は」
「知らなかった」
「なら」
「今なら分かる」
女の声が震えた。
「選んだのではない」
「選ばされた」
玄斎が目を閉じる。
「宗伯の爺」
低い声。
「今度会ったら本気で殴る」
「九十一です」
「知るか!」
◇
鍵が入る。
「開けます!」
「待て」
中の女が言う。
「何です」
「扉の前から離れろ」
「なぜ」
「内側に糸がある」
「何の」
「開くと棚が倒れる」
「罠?」
「元帳を潰すため」
「人は」
「私が扉際にいれば巻き込まれる」
「離れて!」
「もう離れている」
「確認します」
「覗け」
新之介が覗き窓から見る。
暗い。
だが人影は奥。
「よい」
「開けます」
神谷と水野。
二人で鍵。
ゆっくり。
扉。
ぎい。
内側で何かが引かれる音。
「止めるな」
千代の声。
「そのまま」
開く。
ごとん。
脇の棚が傾く。
石床へ倒れる。
紙束。
木札。
だが扉の前には誰もいない。
「千代殿!」
奥から女が立ち上がる。
五十ほど。
白い面をつけている。
右手の小指はある。
左手の小指がない。
玄斎が言う。
「そなた」
「面を外せますか」
新之介が問う。
「嫌だ」
「では今はそのままで」
玄斎が驚く。
「よいのか」
「本人が嫌だと」
「顔も見ずに」
「行いを先に」
女が笑った。
「やはり面倒だ」
「知っています」
◇
石室の中。
倒れた棚。
奥に木箱。
千代が指す。
「元帳はあれだ」
「触った者は」
「私だけ」
「今開けた?」
「いや」
「最後に見たのは」
「十年前」
「誰と」
「藤吉」
「父の方?」
「そうだ」
「もう一人」
「鷹見宗一郎」
「三人」
「記録は」
「箱の上」
小さな紙。
確かに三名。
だが。
「宗一郎の名が」
水野が言う。
「鷹見静山になっている」
「当時はその役だった」
「では後で注記」
新之介が言う。
「誰が誰として立ち会ったか」
「そこまで?」
千代が問う。
「そこまでです」
◇
「元帳を開ける前に」
新之介が言う。
「千代殿」
「何だ」
「そなた自身の希望を記録する」
「何を」
「元の名へ戻りたいか」
女の身体が硬くなる。
「……戻りたくない」
「今の名は」
「お千でもない」
「千代でもない」
「では」
「冬」
「お冬?」
「違う」
「ただの冬」
「姓は」
「いらない」
「分かりました」
「それでよいのか」
「今は」
「後で変えても?」
「構いません」
「名を変えても」
「変えた理由を残せばよい」
女――冬は、しばらく何も言わなかった。
「そんな簡単に」
「簡単ではありません」
「役所が認めるか」
「認めさせる方法を考える」
「誰が」
「一人では決めません」
「またか」
「はい」
「……それなら」
冬は面の奥で泣いているようだった。
「少しだけ、生きやすいな」
◇
木箱。
立会人。
新之介。
水野。
神谷。
玄斎。
冬。
さらに若い役人。
「私は」
役人が驚く。
「名を」
「榊原殿、私はただの書役です」
「だからです」
「名は」
「松吉」
「姓は」
「ないです」
「松吉殿」
「殿は」
「今は立会人です」
松吉の背筋が伸びる。
「はい」
六人。
箱を開く。
中には薄い帳面。
十六人。
第一頁。
――別路十六名。
新之介の目が止まる。
「別路」
またその言葉。
「救出ではない」
冬が言う。
「最初から」
「そうだ」
「次」
水野が読む。
「――一、名……」
新之介が止める。
「待ってください」
「何」
「本人の元の名を読む前に」
「はい」
「公開範囲を決める」
神谷が呻く。
「ここまで来てまだ」
「元の名へ戻りたくない人がいる」
「読まれたら戻れない」
玄斎が頷く。
「よい」
「では名前の欄は伏せる」
「本人の同意がある時だけ」
「役所へは」
「必要な者だけ」
「理由も記録」
松吉が書く。
「名を隠す理由まで書くのですね」
「はい」
「勉強になります」
「役所で広めてください」
「怒られます」
「その時は誰に怒られたか記録を」
「榊原殿!」
水野が笑う。
「本当に面倒だ」
◇
役だけ読む。
一。
寺。
二。
商。
三。
船。
四。
寺。
五。
町方。
六。
武家、榊原家。
七。
影。
八。
千代。
九。
船。
十。
御影。
ここまでは地下の見分帳と同じ。
「十一」
水野が読む。
「商」
「十二、寺」
「十三、武家」
「十四、影」
「十五、商」
「十六――」
水野の声が止まる。
「何です」
「武家ではない」
「では」
水野が帳面を見せる。
――十六 将軍家。
全員が黙る。
「影ではなく?」
神谷が問う。
「将軍家」
「誰」
冬が低く言う。
「それが、一番隠された」
「本人は」
「今も生きている」
「どこ」
「江戸城」
「誰として」
冬が答えようとした。
その時。
帳面の頁が一枚、ずれた。
「待て」
新之介が言う。
「何」
「十六の下」
紙が二重になっている。
貼り合わせ。
松吉が灯りを近づける。
「後から貼った?」
「剥がすな」
冬が言う。
「裏から見ろ」
灯りへかざす。
透ける文字。
元の記載。
――十六 武家。
その上から。
――将軍家。
「途中で変えられた」
新之介が言う。
「どの武家から」
透ける文字を追う。
姓。
二文字。
一文字目。
真。
新之介の目が止まる。
二文字目。
崎。
半九郎の家。
「真崎家」
水野が呟く。
「真崎玄十郎」
新之介の胸が締まる。
「十六番は」
冬が目を伏せた。
「真崎家へ入れられるはずだった」
「では、なぜ将軍家へ」
「玄十郎が断った」
「何と」
「子どもを役の中へ隠すな、と」
玄斎が小さく息を吐く。
「玄十郎らしい」
「それで」
「代わりに将軍家へ」
「誰が決めた!」
「御影宗太郎」
「また」
「ただし」
冬が続ける。
「宗太郎だけではない」
「誰」
「真崎玄十郎自身も、最後に同意した」
新之介が顔を上げる。
「なぜ」
「将軍家なら」
「御影から手が届かないと思った」
「それも間違った」
「ああ」
「十六番は今」
冬が言う。
「影武者ではない」
「では」
「御台所付きの奥女中」
「女?」
「そうだ」
「名は」
「今の名なら言える」
「何という」
冬は答えた。
「お菊」
玄斎が何かを思い出す。
「お菊……」
「知っているのですか」
「十五年前」
「真崎玄十郎が、一度だけ口にした」
「何と」
玄斎はゆっくり思い出す。
「『菊だけは城へ入れるな』」
冬が目を閉じた。
「それが最後の言葉だった」
「玄十郎殿の?」
「私が直接聞いた最後だ」
「では」
新之介が問う。
「お菊殿は、今も城内に」
「いる」
「どこ」
「大奥」
「会えるか」
「普通なら無理だ」
「今は普通ではない」
水野が言う。
「確かに」
◇
その瞬間。
石室の外で。
女の悲鳴。
「何だ!」
神谷が走る。
廊下。
上から奥女中が一人、転がるように降りてくる。
「助けて!」
「名は!」
新之介が叫ぶ。
女が驚く。
「今それを?」
「名を!」
「お春!」
「何があった!」
「お菊様が!」
冬の顔が変わる。
「お菊が?」
「大奥から連れ出されました!」
「誰に!」
「御台様のお命だと!」
「本人から聞いた!」
「いいえ!」
「誰の声!」
「御台様!」
「顔は!」
「見ていません!」
新之介と水野が同時に顔をしかめる。
「どこへ」
「御鈴廊下から」
「誰が連れて」
「男です!」
「大奥に男?」
「顔を隠して」
「名は」
「聞きました!」
「何と」
お春は息を整える。
「真崎玄十郎」
新之介の背筋が凍る。
半九郎の父。
死んだと思われている男。
第四冊を隠した者。
十五年前。
十六番を真崎家へ入れることを拒み。
それでも最後には将軍家へ送ることへ同意した男。
「本人の顔は」
「見ていません!」
「声だけ?」
「はい!」
「ではまだ」
冬が首を振る。
「違う」
「何が」
「玄十郎は」
「十五年前から」
「自分の声を録らせなかった」
「一度も?」
「ああ」
「なら偽声は作れない」
「人の真似は」
「できる」
「誰が」
冬の顔から血の気が引く。
「一人だけ」
「誰」
「十六番」
「お菊?」
「そうだ」
「なぜ」
「お菊は」
冬は震える声で言った。
「真崎玄十郎の声を真似るよう育てられた」
「何のために」
新之介が問う。
冬は答えた。
「玄十郎が死んだ後も」
「第四冊を守るためだ」
つまり。
お菊を連れ出した「真崎玄十郎」の声は。
お菊自身が作った可能性がある。
「自分で自分を」
水野が呟く。
「連れ出した?」
「あるいは」
新之介が言う。
「そう見せた」
「誰に」
新之介は、元帳を見る。
十六番。
最初は真崎家。
後に将軍家。
「半九郎殿を呼んでください」
「なぜ」
「十六番の話は」
新之介は立ち上がった。
「真崎家の人間を抜きにして決めてはいけない」
その時。
遠く上から。
半九郎の声が響いた。
「新之介殿!」
「ここです!」
「探しました!」
足音。
半九郎が石段を下りてくる。
だが。
一人ではない。
その後ろ。
白い小袖の女。
二十代後半ほど。
静かな顔。
「半九郎殿」
「はい」
「その方は」
半九郎が、まだ信じられないという顔で答えた。
「お菊殿です」
冬が立ち上がる。
「菊」
女は冬を見る。
「十番」
「その呼び方を」
「すまない」
そして。
お菊は新之介へ向いた。
「榊原新之介殿」
「はい」
「私を探していたそうですね」
「今、探そうとしていました」
「なら丁度よい」
「何が」
お菊は懐から一冊の薄い帳面を出した。
「第四冊の」
「何です」
「第五の写しです」
半九郎が息を呑む。
「父上が」
「作っていた?」
「いいえ」
お菊は首を振った。
「私が作りました」
「いつ」
「十五年前から」
「なぜ」
「第四冊には」
お菊は半九郎を見る。
「真崎玄十郎が書けなかったことがある」
半九郎の顔が強張る。
「父が」
「何を」
お菊は答えた。
「十六人を救うために」
「十七人目を、身代わりにしたことです」
石室の全員が黙った。
六十三人。
四十七人。
十六人。
その数の外に。
さらに一人。
「十七人目の名は」
半九郎が震える声で問う。
お菊は彼を見つめたまま答えた。
「真崎半九郎」
半九郎の顔から。
すべての色が消えた。
(第七十二章へ続く)

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