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司馬遼太郎を模倣した小説『蒼穹の翼 ―山本五十六伝―』第二章・第三章
第二章 日露の嵐 明治三十七年(一九〇四年)、日本はロシア帝国との開戦を決意した。 大国ロシアとの戦争。それは、東洋の小国にとって、無謀とも言える挑戦だった。 五十六は、少尉候補生から少尉に任官され、第一艦隊に配属された。 配属先は... -
司馬遼太郎を模倣した小説『蒼穹の翼 ―山本五十六伝―』第一章
第一章 新潟の空 越後の冬は長い。 白く分厚い雲が山間に垂れこめ、町の屋根という屋根にはどっしりと雪が積もっていた。明治十七年の冬、新潟県長岡。凍てついた空気のなかで、山本五十六は生まれた。 高野家は、かつて長岡藩の下級藩士だった家柄...