山本周五郎– category –
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山本周五郎
山本周五郎を模倣し、江戸時代の武士の姿を描いた完全オリジナル小説『落日の士(サムライ)』第二章
――第二章 雪の関所―― 峠を越えるころには、空模様が変わっていた。 朝の晴天は跡形もなく、鉛色の雲が低く垂れ込め、粉雪が斜めに舞っている。街道は踏み固められてはいたが、ところどころ凍りつき、草鞋の裏が滑った。 榊原伊織は笠の縁に積もる雪... -
山本周五郎
山本周五郎を模倣し、江戸時代の武士の姿を描いた完全オリジナル小説『落日の士(サムライ)』第一章
――第一章 落日の城―― 冬の気配は、まだ暦の上にあるばかりであったが、北から吹き下ろす風にはすでに骨の芯へ沁み入る冷たさがあった。 信濃国松代藩の外れ、小高い丘に築かれた古城・葛尾城は、夕映えの中に沈もうとしていた。石垣の隙間に生えた枯...